スペイン語学習者にとって、DELEは一つの目標や指標にもなる試験です。
しかし、日本でも受験者の多いTOEICや英検のように、試験に関する情報がゲットできないのが現状。
参考書も、日本語のものはほとんどありません。
そこで、今回の記事では、2019月11月にDELE B2を受験した筆者が、個人的に感じたDELE試験の特徴とおすすめの対策方法を「読解編」「リスニング編」「筆記編」「面接編」の四つに分けてご紹介したいと思います!
今回は、「リスニング編」です。
目次の初めの「DELEについて」では、「読解編」「筆記編」「面接編」でも同様の内容をここに記載していますので、それらのリンクから来たひとは、ここは飛ばし、次の項目から読み始めてください!
DELEについて
まず初めに、DELEについて簡単にご紹介します。
DELEとは、スペイン語の国際資格のことで、一度取得すると資格が失効することがないという特徴を持っています。
レベルはヨーロッパ言語共通参照枠MCER(CEFR)に基づき、A1(入門)、A2(初級)、B1(中級)、B2(中上級)、C1(上級)、C2(最上級)の6段階に分かれています。
DELE B2(中上級)
今回ご紹介するのは、中上級に当たるB2というレベルについてです。
複雑な内容や抽象的なテーマ、スペイン語の多様性を認識し、既知の専門的内容を理解することができる。流暢かつ自然で、聞き手に困難を与えない会話能力を持ち、明瞭かつ詳細な文章を作成し、推論的分析、ディベートなどができるレベル。
引用元:Instituto Cervantes,『DELEスペイン語検定のレベル』
仕事や大学進学を考えている方は、B2以上が求められる場面が多いので、「スペイン語を使える」という一つの基準と考えられているようです。
合格の基準
DELE B2では、「読む」「書く」「聞く」「話す」の四技能のうち、「読む」と「書く」がペア、「聞く」と「話す」がペアになって評価がされます。
ざっくりいってしまえば、60%以上の点数がとれる必要があるのですが、構成が複雑なので、単純に合計点が60%以上ならOKというわけではありません。
それぞれ技能ごとに25点ずつの配点がされ、この二つのペアの合計点で30点以上をとる必要があるからです。
少しややこしいので筆者の実際の点数を例にすると、
読む | 14.58点/25点 | 58.32% |
書く | 17.29点/25点 | 69.16% |
聞く | 10.83点/25点 | 43.32% |
話す | 23.75点/25点 | 95.00% |
「読む」「書く」合計 | 31.87点/50点 | 63.74% |
「聞く」「話す」合計 | 34.58点/50点 | 69.16% |
それぞれの合計点が30点(60%)以上なのでAPTO(合格)という結果でした。
これを見てわかっていただけると思いますが、かなり力技で合格しています(笑)
リスニング半分以下って…
DELE全体の傾向として、リスニングは難解で得点が低くなりがちなので、オーラルでカバーするというのがセオリーとしてあるようです。(もちろん人によりますが)
とはいえここまで極端な数字が出るとは思いませんでした。
こんな風に「本当にそれで合格といえるのか?」という点数でも一応APTOをもらえることもあるのですが、「どの項目も60%以上とれる準備」を目指す必要があるといえます。
リスニングパートの構成
では、「リスニング」パートについて解説をはじめます。
DELEのリスニングパートは、「Comprensión auditiva」と呼ばれます。
5つの大問に分かれており、それぞれ異なる形式の聴覚試験となります。
スペイン語では、大問はTareaと言います。
Tarea1(6問) 短い会話を聞いて内容に最も適するものを選ぶ
Tarea2(6問) 長い会話を聞いて、誰がその発言をしたか選ぶ
Tarea3(6問) インタビューを聞いて内容に合っているものを選ぶ
Tarea4(6問) 6人の人の意見を聞き、内容が合っているものを選ぶ
Tarea5(6問) 幅広いテーマに関するプレゼンを聞いて適切な解答を選ぶ
重要ポイント
リスニングパートで押さえておきたい重要ポイントは、以下の5点です。
①内容は全て2回読まれる
②大問ごとに、事前に選択肢を読む時間が1分程度ある
③Tarea2・3・5は聞きながら解答する
④Tarea4だけ例題がある
⑤スペイン、ラテンアメリカなど幅広い音声
もちろん、基本的なスペイン語のリスニング能力があることは大前提ですが、試験形式に慣れていないと、焦って実力が出せないこともあり得ます。
そのため、DELEリスニングでは特に、出題の傾向と形式を事前に把握しておくことが大切だと思いました。
そんなの関係ないくらい実力があれば問題ないですが…!
まず、DELE B2のリスニングでは、問題はすべて2回読まれます。
一度目、聞き逃した!と思っても、慌てずに、次はどこを集中して聞けばいいかだけでもつかんでおくと気持ちが楽だと思います。
全体で60%を越えればいいと考えると、合計が30問なので、18問以上は正解したいところです。
つまり、各大問で3~4問程度の正答が必要になります。
実際のところは、Tarea3、5がテーマにより得手不得手がでやすいので、Tarea1、2、4当たりで合計15点くらい安心して稼げると、かなり点数が安定すると思います。
ま、試験でリスニング半分以下だった私が言えることではありませんが…涙涙
あと地味に難しいと感じるのは、いろんな地域のスペイン語で音声が読まれることです。
例えば筆者はスペインでスペイン語を学んできたので、ラテンアメリカのスペイン語が苦手です。
メキシコ、アルゼンチンあたりのアクセントで出題されると、いつもならわかる簡単な文章も、「ん?」と理解に時間がかかったりします。
日ごろから幅広いスペイン語に触れておくのも、DELEの対策には必要なんだなと思いました。
解答時間の短さ
正直言って、準備時間の1分程度ではすべての選択肢を読むことはできません。
この時間にどれだけ選択肢の内容を把握しておけるかが結構重要だと思いました。
これはかなり人によると思うので、筆者のやり方を真似しろ!というものではありません。
というか筆者のリスニングは43%と燦燦たる結果だったのでもはや参考にしない方がいいのかも…涙
まず、リスニングパートで個人的に難しい!と思ってなかなか得点が伸びなかったのは、Tarea3と5です。
この二つは、一気に2~3分程度の音声を聞き、音声を聞きながら選択肢を読み、解答を選ぶという形式です。
聞きながら読むとか無理すぎる!
一応、音声の音に解答時間はありますが、10秒?程度なので、ゆっくり考える時間はありません。
いかに選択肢を素早く把握し、音声から伝わる内容の要点を掴むかがカギになってきます。
得点がとりやすいTarea1と4!
これも個人的な意見として聞いていただきたいのですが、Tarea3と5は、結構難しかったです。
内容を正確に聞き取る力はもちろんですが、選択肢の文とは異なる表現・キーワードで音声が流れますので、聞こえた内容をきちんと「理解」している必要もあります。
一方、Tarea1、4は、比較的時間に余裕があり、内容も馴染みやすいので、得点が安定しやすいです。
それぞれの選択肢が独立しているため、「このテーマだと全然単語がわからない!」など、大問全体でコケる可能性が低いです。
では、それぞれの大問ごとの特徴と対策について触れていきます!
Tarea1 表現・慣用句問題
「会話を聞いて正解を選ぶ」となっていますが、要はこのTareaはスペイン語の「表現」や「慣用句」を理解しているかをチェックする大問と言えます。
たとえば、Ponerse como un tomateという表現は、「恥ずかしくて赤面する」という意味になります。
会話の中で出てきたこの表現を正しい文脈でできているか?をチェックする、という意図だと推察します。
これらの慣用句が今も日常的に使用されているかは置いておいて…
慣れてくると「あ、これはこの表現を理解しているか問う問題だな」と音声を聞きながらイメージがわくようになります。
幅広い語彙に対応しているかどうかの問題も中には含まれますが、より確実に得点につなげるには、表現や慣用句を覚えておくのがおすすめです!
このTareaは問題ごとが独立しているので、一問わからなくてつまずいても、次の問題に響かないのがいいところです。
Tarea2 誰の発言か答える問題
このTarea、勘違いしてしまいがちなのですが、「誰の行動か」よりも、「誰の発言か」を問う問題です。
たまに混乱するような設問があるので、その点を勘違いしないように注意してください!
この問題も、リスニングパートの中では比較的得点源になりえるパートだと思います。
テーマも、友だち同士、家族の会話など一般的なものが多いので、情景がイメージしやすくなじみやすいです。
さらに、このTareaで与えられている選択肢は短めで理解しやすいです。
準備時間の1分に選択肢にざっと目を通せば、どのタイミングでその話題が持ち上がったのか、音声を聞きながら追うことができます。
唯一、このTareaで「厄介だな」と感じるのは、「Ninguno de los dos(いずれでもない)」という選択肢があることです。
意外とひっかけがあるので、注意しましょう!
Tarea3 インタビュー形式
このTareaでは、有名人などに対してインタビューが行われる様子を聞き、その中で言及された内容から適しているものを選ぶという問題です。
まず、一度に聞くリスニング音声が2~3分と、かなり長いです。
そのため、最初から最後まで集中力を切らさないのはかなり大変です。
一度内容に追いつけなくなると迷宮入りします。
選択肢を読む時間は他のTarea同様1分程度与えられますが、それでも時間は十分ではありませんでした。(筆者の場合)
そのため、内容を読みながら聞きながら解答を進める必要があり、いかにリスニングに慣れているか、選択肢を迅速に理解できるか、地力が試されるパートです。
ぶっちゃけ筆者はこのTarea3がものすごく苦手だったので、6問中2問合ってればラッキー程度に考えていました。
Tarea4 誰の話か選択肢から選ぶ
個人的な意見としては、一番点がとりやすいのはTarea4だと思います。
理由は二つあって、一つ目は、設問が一つずつ独立しているので内容を把握しやすく、音声が短いので集中して聞ける点。二つ目は、なぜかこのTareaだけ一問「例題」を読み上げる時間がある点です。
大きなテーマは統一されているにせよ、個性の違う6人が自分の意見や経験を述べる形で進んでいくので、話を聞いていて飽きないです。
選択肢は混乱しやすいものもありますが、それを差し引いても他のTareaに比べて簡単だと思います。
何より、例題を読み上げている時間が1~2分あるので、その時間に選択肢をじっくり読むことができます。
もちろん、形式をあらかじめ理解できている人は、この例題の音声を真剣に聞く必要は全くありません。
慣れれば必ず得点源になります!
Tarea5 自分語り型リスニング
これもTarea3同様、一気に2~3分の音声、そこから6問の問いに解答という形式です。
このTarea5、Tarea3よりも難しいなと感じるのは、インタビュー形式でなく一人が勝手に語り続ける点です。
どこからどこまでが何の話だったのか、結構簡単に迷子になります。(私だけ?)
環境保護活動や、地域の政策などテーマが幅広く抽象的なことも多く、日常会話以上の語彙力が必要になります。
Tarea3と同じく、半ばあきらめていたというか、DELE本番で出題されたTarea5が本当にわからなさ過ぎて、試験中に笑いそうになった思い出。
もしかしたら本番、Tarea5はゼロ点だったかもしれないなぁ…
まとめ:形式に慣れておくことが大事!
リスニングパートは、音声がどんどん進んでいくので、ゆっくり自分のペースで…ということができません。
他の語学試験でも言えることですが、「やばい!わからなかった!」という焦りは、予想以上に次の問題へ響きます。
そのため、DELEの形式になるべく慣れ、「この時間はこう使う」といった、試験の中での自分の行動を事前にシミュレーションしておくのも大事だと思いました。
もちろん、基本的な実力を持っていることが大前提ですが、「試験に慣れていない」という理由で点数を取りこぼしてしまってはもったいないので。
長くなりましたが、これらはすべて筆者の個人的な見解です!
へぇ、そんな人もいたんだ!程度に考えていただければと思います!
以上、DELE B2リスニング対策でした!
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