知らないと困る!?スペインと中南米のスペイン語の違いを解説!

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スペイン語学習
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はな

2019~2021年までスペインで語学留学。2021年秋からはイタリアで美術史修士課程。スペイン語 Dele C1, 英語 IELTS 6.5。社会人留学、語学学習ときどき旅行についてまとめています。趣味は美術館・教会巡り、ポストカード・古紙幣収集。

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スペイン語を学習している人にとって、話されている国や地域にとって発音や文法が異なるというのは非常に厄介な問題です。

特に、スペインのスペイン語と中南米のスペイン語はかなり違いがあり、仕組みを知らないと会話の中で勘違いが発生する場合もあります。

筆者はスペインのバレンシアで2年間スペイン語を学んできましたが、最初のころは中南米出身の人と話すときはうまく聞き取れないことが多く、とても緊張していました。

今回の記事では、スペインと中南米で言語的にどのような違いがあるのかについて、スペイン在住の筆者の目線で紹介します!

実際、中南米といっても広いし、アルゼンチンとメキシコではかなりスペイン語に違いがあります。ただ筆者はスペインに住んでいるので、中南米間の差というよりは、「スペイン」と「中南米」というくくりで今回はまとめています。

また、本記事は「スペインのスペイン語が正しい」という趣旨のものではなく、シンプルに両者の比較をしたものです。単に筆者がスペイン在住なので、視点がスペイン寄りになっているだけなので、悪しからず!

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世界中で話されるスペイン語

スペイン語は世界でも話者数の多い言語の一つとして知られており、スペイン語を第一言語としている人の人口は約4億8,000人にものぼると言われています。

スペイン以外にも、中南米の大半の国がスペイン語を公用語としており、世界中の21の国と地域で公用語として定められています。これは、英語、フランス語、アラビア語に次ぐ、4番目です。

ちなににスペイン語圏で最も人口が多い国はメキシコです。

スペイン人はスペインのスペイン語に誇りを持っているし、中南米の人々も然りです。

もちろんネイティブ同士で会話をするのには全く問題はありませんが(たまに単語が通じないことはある)、日本語で言うと関西弁、博多弁、東北弁…もしくはもっと大きな差があるのは確かです。

スペインと中南米のスペイン語の違い:過去形

まず、スペインのスペイン語と中南米のスペイン語では、「過去形」が違います。

これは圧倒的に違う、というか、地味に結構勘違いを生み出すポイントです。

スペイン語の過去形には、点過去、線過去の二種類があります。

線過去の用法はスペインも中南米も同じですが、注意が必要なのは点過去です。

スペインでは、直近の過去について言及する際、もう一つ別の種類の過去形、「現在完了」が使われています。

一方中南米では、過去の遠近にかかわらず、一貫して点過去を用います。

例)今朝学校へ行きました。
スペイン:He ido a la escuela esta mañana.
中南米 :Fui a la escuela esta mañana.

細かい話をすると、スペインでは「今日」の話をするときに加え、その他にも「今週」「今月」「今年」など、este/estaを使って表現する言葉が分に含まれる場合は、現在完了を用いることになります。

じゃあ中南米ではどんなときに現在完了を使うの?

と思われた方もいるかもしれませんが、スペイン語の現在完了には過去の表現の他にも、「これまでに経験したこと」という用法があります。

例)パエリアを一度だけ作ったことがあります。
スペイン:He hecho paella una vez.
中南米 :He hecho paella una vez.

この用法の場合はスペインと中南米に違いはありません。

スペインではめちゃくちゃよく使う時制なのですが、中南米の人にとってはそんなに登場頻度の高いものではないそうです。

これの何が混乱を招くかというと、スペインでスペイン語を学んだ人にとっては、「今日の話」=現在完了という認識があるので、突然過去形で聞かれると、いつの話をしているのかわからなくなってしまうのです。

例えば「もうお昼ご飯食べた?」と聞きたいときに、中南米出身の人に ¿Comiste? と聞かれると、少し戸惑います。

スペインのスペイン語では ¿Has comido? ですね。

慣れればどうってことないのですが、はじめはかなり混乱しました。

動詞の活用がまだまだ苦手…という人には、たくさんの問題を解きながら活用の訓練ができるこのシリーズの参考書がおすすめです!

スペインと中南米のスペイン語の違い:vosotros/ustedes

過去形に続いてスペインと南米のスペイン語で大きく違うことの一つがvosotros/ustedesです。

スペイン語は主語に合わせて動詞の活用が変わる言語ですが、二人称複数(あなたたち)の主語がスペインと中南米で異なります。

スペインはVosotrosを用いるのに対し、中南米はUstedesを用います。

例)君たちと一緒に行くよ。
スペイン:Voy con vosotros.
中南米 :Voy con ustedes.

スペインではUstedesは目上の人や、接客の際に用いられる丁寧な表現で(Ustedの複数形)、初めて中南米出身の友達にUstedesと言われたときに「なにその距離感!?」と驚きました。

主語が変わる、ということは、当然動詞の活用も変わります。

Vosotrosには二人称複数のための活用が適用されますが、Ustedesの場合は三人称複数(彼ら/彼女ら)の活用が用いられます。

そのため、Vosotrosを使う機会のない南米でスペイン語を学んだ人が「Vosotrosの活用難しすぎる!」と言っているのをよく耳にします。

確かにそうなのです。なんとなく活用変化が仲間外れで、覚えづらいのです。

例)君たちも私と一緒に来る?
スペイン:¿Venís conmigo?
中南米 :¿Vienen conmigo?

さらに厄介なのはここに、先ほど言及した現在完了と点過去が加わった場合です。

例)君たちはお昼食べた?
スペイン:¿Habéis comido?
中南米 :¿Comieron?

結構違いますよね?というか全然違いますよね!

これは実際に筆者が南米出身の友達に聞かれてフリーズしてしまったセリフです。

スペインでは ¿Comieron? と言われると、「昨日以降の、だれか別の人たちの話」という印象を受ける(点過去、三人称複数)ので、いきなりいつの誰の話をしているの!?と思いました。

しかし彼は単純に「もうご飯食べた~?」というノリで聞いてきただけなので、特にコンテクストは当然なく…。

興味深い両者の違いの一つです。

スペインと中南米のスペイン語の違い:アクセント

アクセントに関してはスペイン国内でもかなり異なる上、先述した通り中南米をひとくくりにして語ることは難しいのですが…。

それでも「おっ!」と違いに気づくのは、C・Zの発音です。

スペインでは、SとCとZはそれぞれ発音が異なります。(CとZは同じ?)

個人的な印象としては、CとZの音は英語のthに少し近く(実際は全然違うけどたとえるとすれば、です!)、Sは日本語のさしすせそとほぼ同じです。

ただ、Siは「シー」ではなく、「スィー」に近いです。

しかし中南米ではこのS・C・Zの発音に差がないため、日本人からすると発音の悩みが一つ減ることになります。

余談ですが、アルゼンチンやウルグアイでは「ジャ」の音(Ya/lla)を「シャ」と発音することが有名ですよね。

ジャ、ジュ、ジョ、はすべてシャ、シュ、ショの音になるので、それを知らずにアルゼンチンやウルグアイのアクセントの人と会話を始めると結構びっくりします。

他にも中南米の中でもイントネーションの違いがかなりあるので、いろんなアクセントを聞いているうちになんとなく「メキシコかな?」「ペルーかな?」などわかるようになってきます。

これがスペイン語の面白さ!

スペインと中南米のスペイン語の違い:語彙

語彙はスペインと中南米で結構違ったりします。

「スペインっぽいスペイン語」としてよく言われるのが、ChuloやGuay(英語で言うCoolみたいな感じ)です。

¡Qué guay! 「めっちゃいいね!」みたいな感じで使ったりします。

反対に南米っぽいな~と感じるのは、¡Chévere!という表現です。

アンデス、カリブ、中米、メキシコなどで用いられるらしく、スペインではほとんど聞かない表現です。

その他有名なものとしては、スペインでは動詞のCogerは「つかむ」「拾う」などの意味で用いられますが、中南米では全く違う意味になります。意味を知らない方はネットで調べてみてください(笑)

また、「車」という単語一つでもそれぞれの地域で差があります。

スペインでは車はCocheですが、中南米の多くの国ではCarro(英語の影響?)と呼ばれ、アルゼンチンとウルグアイではAutoと言います。

運転するという動詞も、スペインではConducirですが、中南米ではManejarという動詞を用いるそうです。

例)この車は私が運転します。
スペイン:Conduzco ese coche yo.
中南米 :Manejo ese carro(auto) yo.

これは筆者が実際にエクアドル人の友達とドライブしたときに言われてマジで意味がわからなかった言葉です。

そもそもManejarという動詞もCarroという単語もスペインでは聞いたことがなかったので、急になんの話をし始めたのかとびっくりしました。

単語の違いに関してはここには書ききれないくらいたくさんあるので、いつか別の機会に記事を一つ書きたいと思います。

スペインと中南米のスペイン語の違い:話す速度

中南米の人がスペインのスペイン語について言及する際に必ずと言っていいほど言うのが「早口すぎて怒っているように聞こえる」です。

筆者はスペインでスペイン語を学んだのでこの速度が通常なんだと思っていましたが、たしかに中南米の国の人のスペイン語を聞くと、ゆったりしているように感じることが多いです。(わかるかわからないかは置いといて)

あとスペイン人は大きな声で話す人が多いので、普通に話しているつもりでも、怒っているの!?という感覚に陥ることもあります。

いつかは慣れますが…

話す速度やアクセントの違いは個人的差もあるので大きく「スペインと中南米」とくくって議論していいのか迷いましたが、知り合いの中南米出身の友達はほぼ全員言っているのでこれも両者の違いとして紹介しました。

ちなみにこちらの参考書は、スペイン語圏の様々な地域の名作短編が載っていて違いを知ることができて面白いです!

左右のページに日本語とスペイン語が掲載されているので学習初心者にも使いやすい参考書です。

結論:どこのスペイン語を学びたいかを決めるのが大事!

ここまでスペインのスペイン語と中南米のスペイン語の違いについて紹介してきましたが、筆者が常々思うのは、どこの地域のスペイン語を学びたいかを学習段階で決めておくとスムーズに学べるだろう、ということです。

語彙やアクセントについては、学習過程において少しずつ身につくものなのですが、間違えてはいけない/間違えたら困る単語(特にCoger!)もあります。

また、アクセントに慣れるというのは実は非常に重要です。

初級の頃はどのスペイン語も同じに感じるかもしれませんが、中級以上になるとなんとなく差を認識できるようになると思います。

特に、どこかの国への留学・渡航準備を日本国内でしている場合、渡航先のアクセントを聞きこむのがおすすめです。

ただしDELEでは様々なアクセントが出題されるというジレンマ…

記事の最初に触れたVosotros形や過去形についても、話す際に文法を混乱せずに使えるようになるためにも、ランダムに使うよりもはっきり初めに決めてしまうのが楽だと思います。

いろんなアクセントや語彙、文法の違いを楽しむことができるのも、スペイン語学習の楽しさの一つだと思います。

ぜひ自分の目指すスペイン語に的を絞って学習してみてください!

以上、スペインと中南米のスペイン語の違いでした。

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