文法を一通り勉強したけど、なかなか会話が聞き取れるようにならない…
文法学習ばかりで効果があるのかわからない…実践的な力を身に着けたい…
スペイン語学習者にとって中級から上級への道のりは長く険しいもの。
実際、筆者は個人的にB1レベルを抜けてからB2レベルを修了するまでに最も困難を感じました。
そこで今回は、長い間中級者(B1とB2の間くらい)レベルにとどまっていた筆者が、留学10ヶ月目でB2取得、そして1年8ヶ月目でC1取得に至るまでに行った「文法学習以外の」5つの勉強法を紹介します!
スペイン語習得のB2は一つの壁
勉強法の紹介の前に、簡単に触れておきたいのが、スペイン語を習得したいと思っている人にとって、B2が一つの壁になる可能性があるということです。
筆者はA2以下レベルでスペインに渡航し、ほぼ現地でスペイン語を学びましたが、日々の会話だけであれば正直B1レベルあればなんとかなるなと常々思います。(もちろんテーマや状況によります)
しかし、現地の大学進学や求人の条件を見ていると「B2」を最低ラインに掲げているところが多いことに気づきます。
これはつまり、B2が「フォーマルな場で正しく言語を運用できる」レベルと認められていることを意味します。
B2レベルの文法を学ぶ難しさはまず、B1までの文法をきちんと理解していないと前に進めないという点があります。これまで曖昧にしてきた部分をクリアにしていかないと、新しく与えられる複雑な情報を積み上げきれない、ということになります。
そこで、B2レベルを目指す学習者にとっては、自分の弱さ(今まで逃げてきたこと)と向き合う必要があり、「壁」に感じてしまう可能性があると個人的に思っています。
少なくとも筆者はそうでした!
しかし、ここを切り抜ければ、ある程度自由に言語を操ることができ、完璧とは言えないまでも、困らない程度のレベルに到達することができるのです!
今回は、文法学習の枠を抜け、実践的な訓練としての「勉強法」を5つ紹介します。
中級者向けスペイン語勉強法①:ディクテーション
「ディクテーション」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
これは、音声を聞いて聞こえた文字を文章として書き起こす勉強法です。
ディクテーションのやり方
- 音声を落ち着いて聞ける環境で紙とペン、もしくはPCを用意する
- 音声を再生し、聞こえた部分をどんどん書き記していく
- 聞き取れなかった部分は巻き戻して再度再生する
- 内容がだいたいすべてわかるまで繰り返す
どうしてもわからない部分は空白にしておいてもOKです!
ディクテーションに適した教材
ディクテーションで最も重要なのは教材選びです。
自分のレベルに合った教材を選ばないと、難しすぎて全然聞き取れなかったり、反対に簡単すぎてあまり効果を得られなかったりする可能性があります。
筆者の個人的な経験では、A2レベルのときは参考書についているCDの聞き取りや、児童向けのアニメでディクテーションを行っていました。
B1以上のレベルの人にとっては、参考書の文章ばかりだと飽きてしまうと思います。
その場合は、日本や世界の名作がスペイン語で書かれているシリーズがおすすめです。
このシリーズの参考書は、片方のページにスペイン語が書かれており、反対には日本語で対訳が書かれています。
音声を聞き取る練習になるだけでなく、精読やその他の学習にも適しているので、とってもおすすめ!
スペイン語は中級以上になると英語とは異なり専門的な参考書が少ないですが、これらのスペイン語で読む小説シリーズなら中級学習者にとって簡単すぎず難しぎずちょうどいいレベルだと思います。
ディクテーションで得られる効果
日本で言語学習をしている人の大きな悩みの1つは、文章の読み取りはできるようになったけど、リスニング力が伸びないということではないでしょうか。
ネイティブ環境を作りづらい状況で、効果的にリスニングスキルをアップできるのがディクテーションです。
それまで「ただの音声」だったものが、一つ一つの単語として把握していく訓練を繰り返すことで、自然と文章を理解できるようになります。
スペイン語は単語同士の音は混ざることが少ない言語ですが、それでもネイティブの発音は単語と単語を極限まで近づけて音を発することがあり、知っている単語でも音情報だけでは正しく理解できないときがあります。
ディクテーションは、これらのスペイン語独特の「リズム感」に慣れるための訓練にもなる勉強法です。
ディクテーションに向いている人
ディクテーションが向いている人は、日頃からYouTubeを見たり音楽を聴いたりしている人だと思います。
また、教材に好きなものを利用すれば楽しみながらスペイン語学習を進めることができます。
例えばサッカーが好きな人は、サッカー選手のインタビューのディクテーションを行えば、ネイティブの自然な表現を好きなことを通して学ぶことになります。
中級者向けスペイン語勉強法②:音読
音読は書かれている文字を声に出して読む勉強法です。文章の内容理解を重視するというよりも、読んだ文字をスムーズに音に変換する練習になります。
音読のやり方
- 文章を初見で読み上げる
- スムーズに読めなかった部分や知らない単語にマークを付け、納得できるまで練習する
- 時間があれば音声を録音、自分で聞いて不自然な部分を修正する
筆者は通常、音読→写経をセットで行っています!
音読に適した教材
音読の教材はなんでもOKですが、これも関心のあるテーマであることがおすすめです。
ネットで探せば様々なスペイン語のページがあるので、気になるものを選べばOKです。Wikipediaなどもおすすめです。
無理にニュースや問題集の長文などの難しいテーマを選ぶ必要はなく、ネイティブの書いた文章であればなんでもいいと思います。
楽しみながら進められることが大切です!
個人的には、精読や写経の前には音読の工程をいれることで高い効果が得られると思います。
音読で得られる効果
スペイン語は英語やフランス語に比べて日本人にとって発音しやすい言語だと筆者は思っています。
そのため、音読をする際には必要以上に発音の良し悪しにプレッシャーを感じる必要はなく、どちらかというと文章をスムーズに把握するための訓練になります。
音読をせずに目視だけだと雰囲気で意味を理解しているように感じますが、実際に音声を発しながら読んでみると意外とスムーズに読めない場合もあります。
知らない単語がある場合でもスペイン語は発音ルールが明確なので、読み方や発音を間違えることはあまりありません。
知ってる単語であればどんなに長くても結構読めたりします。
重要なのは、「知らない単語もある」「初見の文章」をなるべくスムーズに、正確に発音できる状態を目指すことです。
音読に向いている人
音読に向いている人は、文章を読むことに抵抗がない人、好きなテーマの文章ならいくらでも読める人、です。
繰り返しになりますが、語学学習を続ける上で最も重要なのは、好きなことに関連付けて楽しみながら勉強できる環境を作ることです。
サッカーが好きな人はサッカー関連の記事、料理が好きな人はスペインやラテンアメリカのご飯に関する記事など、自分がワクワクするものを題材に選びましょう!
中級者向けスペイン語勉強法③:精読
精読は、スペイン語で書かれた文章を、文法的に分解(もしくは日本語に全訳)しながら読み進めていく学習方法です。
日常会話レベルや、一般的なコミュニケーションに必要なレベルを目指すのであれば、精読は必要ないかもしれません。しかし、言語のレベルをC1以上など高いレベルまで上げるためには、文章をたくさん読む習慣は非常に重要だと感じました。
精読のやり方
- 文章をざっくり読む。
- 知らない単語の意味を調べる
- 接続法・直接法を分類(接続法の場合は理由を明確に)する
- 前置詞が含まれる場合は用法を確認する
精読に関してより詳しいやり方はこちらの記事にまとめています。
精読に適した教材
好きなテーマを選ぶことは大前提として、筆者が実際に精読を行ったことのある題材は「小説」と「雑誌」です。
小説の場合、書かれている文章がすべて「過去形」であるため、過去形の活用を練習したい人におすすめです。
ただし、普通の小説を読む場合には接続法過去など複雑な文法の用法が登場するので、基本文法を一通り修了しておくとスムーズです。
雑誌の場合、学術的な「堅い」文章を読む訓練になります。DELE B2以上取得や現地進学を目標にスペイン語を勉強している人には雑誌の精読はおすすめです。
精読で得られる効果
精読は、簡単に言うと文章を正確に理解するための訓練になります。
B2以降のDELEの読解パートは、はっきり言ってスピード勝負になります。
それなら正確さよりもスピードを身に着けたい…
と思う人もいるかもしれませんが、筆者の個人的な見解としては、読解の精度があがればスピードは自然とついてくると思います。
「文章を読むスピードが追い付かないのは、一度読んだ文章を理解できずに、何度も繰り返し読む必要があるから。一発で理解する気概で長文を読め!」
という言葉を目にしてから、筆者の読解に関する考え方がだいぶ変わりました。
ざっくりした理解でもったいないミスをしてしまうよりは、一度で正確に理解できる読解力の方が、結果的にスピードが出る…というのが筆者の持論です。(あくまで持論です!)
精読に向いている人
精読に向いている人はズバリ文章を読むのが好きな人です。
日本語でも文章を読むのが嫌いという人は、正直この学習方法はつらいかもしれません。
しかし、少しでも楽しんで学習をするために、「これなら何時間でも読んでいられる!」というジャンルに関するスペイン語の文章を探すことが大切だと思います。
また、細かい文法の品詞分解や、合理的に文章を理解することに楽しさを感じる人には最適な学習方法と言えます。
スペイン語のルールを理解し、一文一文に関して他の人に文法を説明できるくらい追求して考えることが精読です。
特に、スペイン語の接続法は必ずルールに則って登場します!
反対に言えば、一回ごとに読む文章の量は多くなくてもいいと思います。
少ない量でも継続して読む習慣をつければ、最終的にたくさんの情報量をゲットできる力が身に着きます。
筆者は精読を2ヶ月続けた結果、気づいたときには同じ時間内で倍の文章を読めるようになっていました。
中級者向けスペイン語勉強法④:写経
写経はスペイン語で書かれた文章を手で書き写す学習方法です。
書き写すだけで効果あるの?
と言われることもありますが、筆者のお気に入りの学習方法の1つでもあります。
写経のやり方
- 教材の文章に一度目を通す
- 知らない単語を調べておく
- 文章の文法的な構造を把握しながら全文を書き写す
写経に適した教材
写経は他の学習方法に比べて、難しい文章にもチャレンジしやすい学習方法です。
B2レベルに近い学習者であれば、ネット上に存在しているあらゆるスペイン語の文章を用いて行うことができます。
ネイティブの書いた文章であれば比較的なんでもOKなので、新聞や専門書に限らず、ネット上の文章を書き写すのが一番手っ取り早いと思います。
ただし、DELEの筆記パートで必要になるようなフォーマルな文章の練習をしたい人は、オンラインのニュースや専門的なテーマのページを写すのが効果的です。
写経では単純に文章を理解する読解力だけでなく、文章の構成、どのような接続詞を用いて書くと「スペイン語らしい表現」になるのかを知ることのできる学習法です。
語彙力や正しい文法表現が身に着いていても、文章全体の構成が不自然な場合、DELEの筆記パートで高得点をとることは難しいと言えます。
そのため、日頃からフォーマルな文章の形式に親しむことができる写経がおすすめなのです。
写経で得られる効果
写経は読解の訓練にもなりますが、精読の際に言ったように、文章の細かい構成要素を分解しながら読み進める訓練になります。
写経は、一文一文の正確な理解に加え、全体的な文章としてのまとまりを意識しながら、どのように論文が構成されているかを知ることのできる学習法です。
日本語の起承転結のように、文章の始まり、構成要素、結論への運びなど、スペイン語には豊かな表現方法があります。
日常会話の中ではそのような表現を知ることは難しいため、アカデミックレベルのスペイン語、B2以上のレベルを目指す人にとっては、この文章構造を理解して身に着けることが求められます。
そこで、スペイン語で「フォーマルな文章を読む」訓練に最適なのが写経です。
ここで注意が必要なのは、ただ機械的に文章を書き写すだけでは、効果的な学習にはつながりにくいという点です。
特にスペイン語の写経においては、1つ1つの品詞を細かく分析し、「なぜこの動詞の活用なのか?」「この前置詞はどのような働きをしているのか?」を考えながら文章を書き進めることが大切だと感じます。
写経に向いている人
写経に向いている人は、まず文字を書くのが好きな人です。
文章を手書きで全文書き写すという行為は、かなり骨が折れます。
筆者はほぼ毎日1~2時間スペイン語の写経を続け、約2か月かけて雑誌を1冊書き終えるくらいのペースでした。
書く作業に時間はかかりませんが、文章を「正しく」理解しようとすると、これくらい時間がかかってしまうと思います。
他の学習法の項目でも触れた通り、一日に行う勉強の量は少なくても問題ないと個人的には思います。重要なのは、継続して同じ学習法を続けることです。
そのため、文字を書くのが楽しい、外国語の文章を読むのが楽しいというタイプの学習者は、楽しみながら写経を続けられると思います!
中級者向けスペイン語勉強法⑤:会話練習
王道ながら、なかなか難しいのが会話練習です。
日本にいながらスペイン語のレベルアップを目指す人にとって、ネイティブの友人を見つけるというのは簡単な方法ではありません。
しかし、話せるようになるには話す練習をするしかない!というのが、語学学習の真理…
特にDELEの取得を目標にしている人にとっては、オーラルの試験の対策は必須です。
会話練習のやり方
- ハロートーク(言語交換アプリ)を活用する
- Twitter、Instagramで日本語学習者を探す
- 日西インテルカンビオに行く
- スペイン語オンラインレッスンを行う
会話練習に適した教材
ハロートークは、言語交換ができるアプリです。
例えば、スペイン語を勉強したい日本語ネイティブと、日本語を勉強したいスペイン語ネイティブが簡単に知り合うことができます。
学習したい言語が一つの場合は無料で利用可能です!(2言語以上の登録は有料)
筆者は留学前に東京でスペイン語を勉強していた際、ハロートークで知り合ったスペイン語ネイティブとチャットや電話で言語交換をしていました。
その他にも、実際に日本に住んでいる人と一緒のカフェに行ってお茶しながらお互いの言語で話したり、一緒に飲みに行ったりしていました。
スペイン語話者は英語話者に比べると数は少ないですが、少なくとも東京では比較的簡単に出会うことができました!
その他、TwitterやInstagramで日本語を学習しているスペイン語ネイティブの人を見つけてお互いの学習をサポートする方法もあります。
インテルカンビオ(ランゲージエクスチェンジ)とは、日本学習者のスペイン語話者と、スペイン語学習者の日本人が一か所に集まって言語交換をするイベントです。
筆者は東京で働いていたので、都内のインテルカンビオに数回参加したことがあります。
ランダムに知らない人と話すのが不安…という人や、文法の疑問はきちんとプロに教えてもらいたい…という人は、オンラインレッスンがおすすめです!
会話練習で得られる効果
会話練習で得られる効果は、言うまでもありませんが、リスニング、スピーキング力の向上です。
特に、リスニング力はデジタル音声を聞くことで鍛えられますが、スピーキングは話す機会を作らなければ、上達しにくい技能でもあります。
実際に対面で会話練習を行うことによって、スペイン語のリズム感に慣れることもできます。
会話練習はスピーキング力アップに絶対に必要!とは言いませんが、一番の近道であることは間違いないと思います。
会話練習に向いている人
とにかく人と話すのが好き、多少の間違いは気にならない!という人は、会話練習をひたすら続けることで劇的に語学力がアップする可能性があります。
筆者の知り合いにも、ほぼ文法の勉強をしていないけど日常会話ならできる!という人が何人かいます。
ただし、人と話すのが苦手な人や、大勢での会話に入るのが好きでない人は、いきなりインテルカンビオなどに参加して会話練習をしようと思うと気持ちが疲れてしまうかもしれません。
その場合は、スペイン語のオンラインレッスンなど、落ち着いて自分のペースで話ができる環境を作ることもおすすめです。
複雑なテーマや、日本語でも会話に入れないような話題をいきなりスペイン語で行うのは大変です。
会話練習を行う際のポイントは、完璧主義を捨ててとにかく言葉を発し続けることと、自分の話しやすいテーマから始めることです。
趣味の話題や、自分自身の話など、気軽に話せるテーマに会話をうまく誘導するのも、会話練習をストレスなく行うためのコツでもあります。
結論:楽しい学習方法を継続的に!
5つの学習方法を紹介してきましたが、重要なポイントは3つです。
- 自分が楽しいと思える学習法を見つけること
- 一定期間(1ヶ月など)継続して行ってみること
- 興味のあるテーマを教材に選ぶこと
他の人にとってはぴったり合っている方法でも、同じ方法が自分にも合うとは限りません。
楽しいと思えなかったり、続けられなかったりしても、「自分はダメだ…」と思う必要はなく、ただ「この方法は合わなかった」と割り切って、他の方法を試せばいいだけだと思います。
また、3~4回行ってみて効果を感じられない学習方法であっても、ある程度の期間続けてみると思いもよらない効果を感じることができる場合もあります。
少なくとも1ヶ月程度は続けてみて、学習を始める前と比べてどのような変化があったか、その変化は学習時間に対して見合う費用対効果なのかを分析する振り返りが大切なのかな、と思います。
もちろん、この1ヶ月というのは毎日行う必要はありません。休んでしまったり、時間が短くなったりしても、また再開すればいいだけです!
「これなら何時間でも続けられる!」という自分が楽しめる教材・題材を用いて学習を行うことも重要です。
趣味に費やしている時間をそのまま言語学習に関連付けられれば、楽しみながらレベルアップができていいことだらけです。
無理せず、気軽にできる学習法を見つけて言語上達を目指しましょう!
以上、中級者向けスペイン語おすすめ勉強法5選でした!
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